科学

バタフライ効果

気象学者ローレンツは、1963年に熱対流の運動を表すモデルとして、ローレンツモデルというのを提唱した。それは3変数の微分方程式であり、解はローレンツアトラクターとして知られている。下図がその軌道である。

L1_6

図を見ると、グルグル回る対流の様子が描けていることを理解してもらえると思う。

この解は渦の部分が蝶の羽に似ていることから、バタフライとも呼ばれている。

さて、そのバタフライに関連してだが、1匹の蝶の羽ばたきが原因で、竜巻が起こることがありえるだろうか?

昨日、非線形性というのは非常に強力で、間違えるとすぐに特異性が表れると述べた。

その特異性が竜巻につながることも考えられないことではないだろうか?

答えは今のところNoである。

蝶の羽ばたき一回程度では、影響が小さすぎる、というのが答えである。

当たり前といえば、当たり前だが、それを厳密に調べていこうとすると、案外難しい。

問題は、蝶の羽ばたきを小さい摂動と考えて、その摂動に対して大気が不安定に振舞うことがあるか、ということである。

大気のコンピュータシミュレーションに基づけば、それは起こらないことになっている。

ただし、それは現在のコンピューターの性能からの結論であり、将来、違った結果が出てくることがあるかもしれない。

それもまた、カオス理論の魅力である。

小さな効果(摂動)が大きな結果をもたらすことを、バタフライ効果という。

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非線形科学

今日は非線形科学のレポートに追われる日。

ここのところ、立て続けにレポートの締め切りが集中しており、忙しい。

Zabusky-Kruskalのシミュレーションをする。

非線形科学というのは、非線形を扱うために、その方程式を厳密に解くことが難しい。

だからシミュレーションを行うのだが、シミュレーションは計算機科学の発展と一体であるため、つい最近からようやく発展し始めた。

非線形科学の難しさは、その近似の仕方にある。

ちょっと間違うと、すぐに発散してしまう例も少なくない。

できあがったシミュレーションを見て、最初は完全に間違ったのかと思った。

いきなり発散が出てきて、とんでもない結果がでたからだ。

しかし、よく見ると、若い時間では有限の変化で波動が現れていた。

何が特異性を生み出すのかを考えるのも、難しい。

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暗黒物質を探せ!その2

今日も暑い一日。

生協の食堂に行くと、見慣れないサラダを発見。

錦糸卵とハム、ワカメ乗せか。

これは冷やし中華の残り具材で作ったに間違いない(笑)。

* * * * *

我々の銀河にも暗黒物質は存在するのか?

今では精巧な観測で、分布状況がかなりわかっているが、それを単純に考えることはできないものか?

実はそれはできて、銀河系内で暗黒物質の分布が球対称である、という結構あらい仮定をする。

そうすると、暗黒物質と通常物質の間の万有引力によるポテンシャルエネルギーが、銀河の回転する運動エネルギーと等しいとおくことで、密度を見積もることができる。

その計算がどのくらい有効であるかは、実験次第だろう。

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謎の暗黒物質を探せ!

先生も京都より帰還。研究室が賑やかだ。

う~ん、それにしても暑い。

先生はすでに半袖半ズボン。

* * * * *

宇宙の観測結果によると、この世界は暗黒物質暗黒エネルギーで満たされている。

もっとも比率が高いのは暗黒エネルギーで、73%。その次が暗黒物質で、23%。

我々を構成している通常の物質は4%しかない。

暗黒エネルギーには手がつけられないので、暗黒物質とは何か、をまず考えてみる。

暗い星?素粒子?

いろいろ候補はあるが、注目されているのにWIMP(Weakly Interacting Massive Particle)というのがある。

カミオカンデなどでは、次世代実験として、この暗黒物質の正体をつかもうと、計画が動き出している。

その観測にはXe(キセノン)を用い、ニュートリノを捕まえたのと同じような原理で、観測を試みる。

O氏もいっていたが、もし、LHC(現在到達できる最高エネルギーの加速器)の実験で何も見つからなかったら、同じような加速器で新粒子を探索することは、もうできないだろう。

なぜなら、加速器のエネルギーは、これ以上は急激に上げることができないからだ。

そうであるなら、希望は宙(そら)しかない。

この実験はXMASS実験と呼ばれているが、成功してほしいものである。

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複素空間と現実世界

現代物理にとって、複素空間は非常に重要だ。

素粒子の繰り込み理論では、いたるところに発散が登場する。複素空間を考えるならば、その発散を複素空間のポール(極)と考えることもできる。

複素解析には、発散を含む関数の積分はポールの値で置き換えられるという、強力な留数定理というのがある。

これは非常に重要な概念で、素粒子論では、プロパゲーターなどの考察によく使う。

電気回路や振動子の解法でも、複素数は使われる。しかし、これは単に計算が楽になる、というテクニカルな意味しかない。

複素空間が重要となるのは、量子力学だ。波動関数は複素数である。量子の振る舞いを決定する波動関数が複素数というのは、いったい何を意味するのか?

現実世界の観測量(確率)を求めるだけの、単なる道具なのか?

我々が量子の振る舞いを本質的に予測できないことから、現実世界から離れた複素空間が、量子の現実に住む世界と考えるべきなのか?

複素空間と現実世界とのつながりは、興味深い。

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企業と環境保護

今日はTAの日。この授業も残すところあと2回。

個人的には非常によい授業だったと思う。様々な企業の方から直接、話を聞けるなんて、めったにないことだ。

去年学科長だったT先生は、「学部生にはもったいない。」 といっていた。

隠れてコネをつくっていた学生もいたみたいだし(笑)。

今日の講師の先生は、日立生産技術研究所・企画室長のO氏。

僕は環境問題の話が印象に残った。

環境への配慮を考えるとき、生産・販売などの動脈側だけでなく、さらに、回収・再利用といった静脈側への循環が必要だ。

そこで日立は温暖化防止ファクター、資源ファクターといった数字の目安を設けて、これを評価している(詳しくは日立のページを御覧下さい)。

しかし、数字だけでなく、実践して環境対策を進めることが何より大事であろう。

愛知万博ではICチップ入りの入場券が採用されたが、あれで普通の切り取り式の入場券に比べて30㌧もの資源が削減できたそうだ。

僕も個人でできることは、なるべくやっていきたいと思う。

授業後、T先生がO氏にうちの学科の宣伝をしていた。日立への就職は、今期がチャンスかもしれない(笑)。

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量子井戸レーザー

量子力学の工学的応用は、ここ50年ほどの間に数多くなされた。

工学、理学、あるいは教養課程でも量子力学を習ったことのある人の大部分は、一度は井戸型ポテンシャルの問題を解いたことがあるだろう。

量子井戸レーザーというのは、それを利用した発振原理を持っている。

階段型の量子井戸を向かい合わせるように縦に並べる。

量子力学によれば、この量子井戸はとびとびの準位を持つ。なので、ある条件を満たせば、上の井戸から下の井戸への遷移が起こる。

フェルミエネルギーギャップよりも大きくなくてはいけない、という条件を満たせばよいのだが、この条件は、ベルナール-デュラフールの条件と呼ばれている。

遷移が起これば、光を放出するので、それを増幅させればレーザーとなる。

単純だが、これが量子井戸レーザーの発振原理だ。

レーザー自体は自然界に存在する物質でも当然発振できるわけで、ヘリウム・ネオンレーザーなどが有名である。

違いは、利用する準位が自然の原子のものか、半導体で造った量子井戸のものか、ということだけである。

量子井戸は少ないキャリア注入で、効率よくフェルミエネルギーを押し上げることができるので、ベルナール-デュラフールの条件を満たしやすい。

この量子井戸レーザーは様々な用途(主に工業)に利用されている。

* * * * *

用語解説

井戸型ポテンシャル…井戸型の形をしたポテンシャル。量子をこの中に放り込んで、シュレーディンガー方程式を解くと、離散したエネルギー準位が現れる。古典的にはエネルギーはどんな値でもとれるが、量子系では、とれる値が限られる。これは量子効果の一例である。

フェルミエネルギー…フェルミ粒子(半整数スピンを持つ)の化学ポテンシャルのこと。直感的には、個々の粒子が持つ固有のエネルギー。

ギャップ…ここでは上の井戸と下の井戸とのエネルギー差。

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冷凍機屋

今日はTAの日。講師は前回と同じく住友重機械のS氏。

冷凍機についてのお話を伺う。

物理(あるいは熱力学)を知っている人であれば、一度は必ず耳にするのが、カルノーサイクルと呼ばれる熱サイクルである。

注射器のようなピストンと容器の系を考えてみよう。以下の操作をしてみる。

1.容器を等温に保ちながらピストンを引く、つまり体積を増やすと、熱を吸収する。

2.その後、断熱にして、ほかっとくと温度が下がる。このとき、体積は増える。

3.そのまま等温にしといてピストンを押すと、今度は熱を放出する。

4.そしてまた断熱にしとくと、系は最初の温度、体積となり、もとに戻る。

このような一周過程をカルノーサイクルという。

これは熱力学的には理想的なサイクルと考えられ、熱を扱う職業の人たちにとってはお手本となる。この過程では、高熱源から熱を吸収し、低熱源に放出する。

このサイクルを逆にする(つまり4→3→2→1)ことで、冷凍サイクルを考えることができる。

この場合、低熱源から熱を吸収し、高熱源に放出するから、低熱源はどんどん冷える。

冷凍機屋はこのときの効率(つまり、何%の熱が仕事に変わったか)を常に参考にして、クーラーなり、冷蔵庫なり、冷凍機を作るのだ。

しかし、カルノーサイクルはあくまで理想的な過程であって、現実には実現不可能である。

よって、効率を上げるために、様々な努力を企業側は行っている。

クーラーなどはここ10年で消費電力が約2分の1になったという。これも冷凍機屋の効率(=地球にやさしい)精神の賜物なのである。

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HD DVD vs Blu-ray Disc

今日は朝8時起床。最近は夜が完全に白夜化している。

寝ようと思って布団に入ると、もうすでに外は明るくなりかけており、眠りに落ちる頃には日は昇っている。

睡眠時間は3~4時間ほどか。う~ん、早く改善しないと生活習慣病になっちゃうな…

* * * * *

HD DVDとBlu-ray Discの開発競争が激化している。

Blu-rayもHD DVDも記憶(読み取り)原理は同じ。

波長の短いレーザー(青)を用いることで、より多くの情報を読み取ることができる。つまり、光のエネルギー密度が高いと、それだけ有利、ということだ。

ソニーなどはすでにBlu-ray Disc搭載のレコーダーを発売しており、現況ではBlu-ray一歩リードといったところ。

Blu-ray開発には参加企業も多い。シャープやソニー、松下、日立、サムスン…。

HD DVDには東芝やNECが参加しているが、市場の9割ほどがBlu-ray陣営であり、劣勢の感は否めない。

Blu-rayもHD DVDも容量は現行DVDの5倍ほどであり、容量の点では遜色ない。

なぜ、劣勢なんだろう?

HD DVDはBlu-rayと比べて現行DVDとの互換性がよく使い勝手がいいというメリットもある。

これからの奮起に期待しよう。

* * * * *

ところで、Blu-rayってなんでBlue-rayじゃないの?と疑問に思った方、いませんか?

それはアメリカではBlue-rayでは一般名詞になってしまって商標がとれない、という困難があるからです。

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低温技術・超伝導編

今日はTAの日で講師は住友重機械のS氏。

今回の講師の先生は準備がとてもよく、パソコンやレーザーポインタを持参してくれた。大変ありがたい。

低温技術についての概論を聞かせていただく。

低温技術が現在重要なのは、やはり超伝導工学の新展が目覚しいからであろう。超伝導自体は1911年に発見されたのだが、その応用への道のりは非常に長かった。

それは半導体やトランジスタの応用と比べても明らかであろう。発見はそれより早いのに、いまだに目立った応用はなされていない。

何が難しいのか?

それは一例として、転移温度がまだまだ低いことが挙げられる。

リニアモーターカーなどは線路の内部に液体ヘリウムを溜め込むから、その状況(極低温)を長時間(というか半永久的に)保つのは難しいだろう。

S氏は21世紀は超伝導応用の世紀になるというが、果たして…

* * * * *

用語解説

超伝導…ある温度で電気抵抗がゼロになる現象。超伝導はこれに加えて、磁力線が内部に侵入しない、というマイスナー効果も示す。

半導体…導体(電気を通す)と絶縁体(電気を通さない)の中間の性質を持つ物質。

トランジスタ…信号(電気の流れ)をコントロールできる半導体素子。

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