場の量子論ゼミは今日で量子電磁力学が終了。
次章は繰り込みとループダイアグラム。
加えて、M2のK先輩が修論の準備に入るため、次回から論文読みが週1で入ってくる。
本格的に論文を読むのは、これが初めてなので、とても楽しみだ!
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量子電磁力学において、非常に重要な公式の一つがクライン-仁科の公式である。
これはコンプトン散乱における散乱断面積をツリーダイアグラムからの寄与のみで求めたものである。
以下にツリーレベルでのファインマンダイアグラムを載せる。
ツリー、つまりループを含まないダイアグラムは上の2種類が考えられる。
左は電子が光子を吸収して、しばらく経った後、光子を放出する過程。
右は電子が光子を放出して、しばらく経った後、光子を吸収する過程。
矢印が粒子の進む方向を表し、実線が電子で波線が光子を表す。
この図形、実はとても便利で、前にも書いたが、この図を描くだけで具体的な物理量(S行列)が導ける。
波線、実線、それらが交わる頂点にはS行列のパーツが割り当てられているので、それを読みとって組み合わせるだけで、S行列を求めることができるのだ。(注:実際にはM行列というのがわかって、それを2乗してS行列を求める。)
S行列が分かれば、散乱断面積もわかり、散乱された粒子の角度分布が求められる。
あとは実験と比較して、理論が実験を再現できているかをみればよろしい。
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場の量子論から直接この公式を計算したら、莫大な時間がかかってしまった!
1日2~3時間で、1週間ほど。途中、γ行列が8つのトレース計算に遭遇して、やる気が失せたが、なんとか最後まで辿り着く。
でも、導けたときの感動は、なんともいいもの。仁科先生が苦労した歴史が感じられるようで、なんだか嬉しい。これこそが理論物理の醍醐味だ!
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仁科先生は理化学研究所の創始者である。
湯川・朝永時代の前に、すでに海外で量子力学の経験を積み、日本にいち早くそれらを伝えた、まさに日本における現代物理学の草分け的な存在であった。
朝永先生は仁科研究室で研究者人生をスタートさせている。朝永先生は仁科先生のことを、海外で外国人と有名な仕事をしたすごい先生、と聞いていたらしいが、その有名な仕事というのがクライン-仁科の公式なのである。
仁科先生はこの公式を導いたとき、間違いばかりが見つかって、本当に苦労したそうだ。導くのに半年もの時間を要している。
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用語解説
繰り込み…無限大の効果を無限大を持って打ち消す計算法。ループを含むファインマンダイアグラムでは必要となる。
ツリーダイアグラム…ループを含まない、ファインマンダイアグラム。このレベルでは計算過程で無限大(発散)は出てこないので、繰り込みは必要ない。
散乱断面積…散乱粒子の角度分布。どの場所にどの程度散乱されたかを表す物理量。面積の次元を持つ。
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