素粒子

ファインマンルールの謎

前4年生がコンプトン散乱の解析をする研究をしていた。

1stオーダーの摂動でM行列を計算するものだったが、あまりの計算量の多さに一部を計算するに止まった。

見ればコンピューター解析でもA4用紙で十数枚の計算結果だ。

とても手計算では手に負えないだろう。

そう、コンピューターがなければ、現代のファインマングラフの研究はできないといっても過言ではない。

手計算で追いつかないのは、能力の限界でもある。

何が言いたかったかというと、つまりは自然の理解には限界があるのではないか?という疑問があること。

もちろん、人間にとってだ。

ファインマンルールは劇的に散乱振幅の計算量を減らした。

それにより、大掛かりな昇降演算子による計算の手間が省けた。これは大きな功績であり、進歩だ。

では、これと同じ状況が今後も続いていくのか?

科学は進歩を続けるか?

果たしてstring理論を実験的に確認できるまで、人類の科学力は進歩できるのか?

大いなる謎だ。

むしろ、自然の構造云々よりも、人間の能力によって科学は支配され、世界は理解されるのではないか?

そう思う今日この頃である。

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Asymptotic Freedom

今日はクリスマスイブsign01xmasxmas

研究室には昼間、修論を執筆する院生が数名pencil

4年生はやはりこない。今日と明日、彼らは彼女とnightを明かすのだろう

(ノ_-。)

クリスマスイブを彼女と過ごすか、研究室で一人過ごすかは…

自由だsign03(。>0<。)

研究室 is Freedom 研究室 is Freedomnote

Asymptotic Freedom  Asymptotic Freedomnote

先生と二人、古いコンピューターの最適化に取り組む。懸念していた通り、AVのファイルが出てきて苦笑い。

うーん、K先輩はアニメ系が好きだったのか

このコンピューターを受け継ぐK君が使うのに支障がないように、とのことだが、肝心のK君はすでに帰宅。イブを先生と過ごすことになった…

。゜゜(´□`。)°゜。

* * * * *

教科書レベルの話だが、修論にAsymptotic Freedomを盛り込むことに決める。2004年のノーベル賞を受賞した研究だし、Coupling constantを、繰り込み群で調べる研究をしているからには、避けて通れない話題だろう。

Asymptotic Freedomとは、高エネルギーで結合定数が小さくなる現象のことである。核力や、クォーク間に働く力(強い相互作用)に代表される特筆すべき性質だ。結合定数が小さくなれば摂動論が有効になり、近似がうまく機能する。逆に大きいと、解が発散していくために摂動論が使えなくなる。

強い相互作用では、こんな感じに変化する。

Asymptotic2_01_2

低エネルギーでは発散してしまうため、摂動論が使えない。今の場合は、陽子や中性子など低エネルギー束縛状態にあるハドロンが当てはまる。

逆に、高エネルギー粒子を衝突させる実験では、 摂動論が有効だ。高次のオーダーまでガンガン計算できる。

ではCoupling Constant(結合定数)とは何かというと、平たく言えば電磁気でいうところの電荷のことだ。古典論では

_01_2

このようなイメージ。

では量子論ではどうなるかというと、真空偏極の効果が加わるため、下のように奇妙なダイアグラムが飛び回る(画像をクリックすると動きます)。

Photo

なんと恐ろしいthunder

 

sign02Σ(`0´*)

これはいわゆる遮蔽効果で、真の(裸の)電荷は弱まって観測されることを表している。高エネルギーではより近距離まで探索できるから、真の電荷をより精密に観測できる。こうして、系のエネルギーで電荷の大きさは変化することになり、先のようなエネルギー依存性が生まれるのだ。

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ゲージ理論の量子化Ⅰ

今日はクリスマスイブイブxmas

研究室には誰もいない。

これより数日、4年生(全員彼女持ち)はきっと彼女とnightを過ごすのだろうshine

(ノд・。)

妬みではありません(゚ー゚;

* * * * *

最近、研究室でPath Integralが流行している。正準量子化と並ぶ有力な量子化法でありながら、何故か素粒子以外ではあまり使われない。

そんな流れに対抗しようと、去年の4年生が卒業論文で、通常の量子力学にPath Integralを取り入れ、量子井戸を始めとする問題にアプローチする研究に着手。量子モンテカルロでシュミレーションした研究は、プラズマ物理の権威I先生に高く評価された。

そんな流れもあってか、今年もPath Integralの研究をする4年生がいる。今度はさらに一段掘り下げ、古典論をPath Integralで焼きなおすという。

えらいこっちゃ Σ(・ω・ノ)ノ!

先生曰く、高価な日本刀で果物を切る、といった例えらしい

例えの意味は、考えてみて下さいbleah

ということで、久しぶりに物理談義sign03Path Integral でゲージ理論の量子化を実行してみたいと思います。

ソースjを持つ自由電磁場に対するGenerating functionは以下の形にかける。

Gauge_quantum2_01_2

ソース項は相互作用の項で、電磁気の場合はゲージ場とフェルミオン場の三点相互作用。

電磁場の量子化は、一般には容易と言われるが、実は落とし穴がある。ベクトル場の零成分の時間微分

_01

がラグランジアンに含まれていないことだ。このことは、量子力学の正準交換関係を見てもわかる。

_01_2

上の式において、pはxの時間微分だから、正準備量子化には時間微分項(零成分)が含まれてしまうsign02

一方、理論のラグランジアンには時間微分項が入っていないわけだから、ベクトル場の零成分は力学変数ではない。

この矛盾、どうやって解決しようΣ(゚д゚;)

解決するには、特定のゲージを選び、ベクトル場の零成分を削除してやればいい。このゲージの選び方は無数にあって、例えばここではCoulombゲージを選んでみる。

Coulomb_01_2

こういった条件を課して変数を減らしてやれば自由度が減って、零成分を落としていいことになる。

これで量子化完了かhappy02

と思いきや、まだまだ難所があります。

続きはまた次回pencil 

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SU(5)モデル

Wess Baggerは佳境に突入したが、どうにも面倒くさい計算が続いて萎えている。

Propagaterの導出で、本来なら数ページかかる計算をたったの一行で済ませていいものだろうか。

疑問に思うcat

ということで、ちょっとその仕事を投げ出して、SU(5)の大統一理論に脱線中。

SU(5)などの理論を詳しく調べるには、表現論が必要不可欠になるが、僕は必要になったらやるタイプなので、今になって群論に苦戦bearing 

でも、やる時は徹底的にやります。師匠に曖昧な理解は絶対しないように叩き込まれているので(*^ー゚)b

SU(5)に代わる候補としてSU(3)×SU(3)モデルが駄目なのは、チャージの対角和がゼロにななり、実際のu,dクォークのチャージの和がゼロにならないことと矛盾するかららしいが、なぜu,dクォークだけで考える必要があるのだろうか?一世代限定でゲージ変換を考えるからか?いや、しかし小林・益川行列は世代混合を許しているではないか。

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祝!ノーベル物理学賞受賞

今年度のノーベル物理学賞は南部、小林、益川の三氏に贈られるとの速報がnew(゚▽゚*)

三人全員が日本人で、しかも素粒子なのはかつてない快挙shine

おめでとうございます。

速報によれば、対称性の自発的破れに対する研究業績に対して与えられたのだとか

特に南部先生は、多方面で開拓者的な業績をあげて、これまでノーベル賞候補に何度も挙げられながら、さんざん受賞を逃してきた。八十を越えてもなお、各大学を飛び回って講演やら研究会やらに顔を出している姿は、まさに研究者の鏡。

各先生方の業績を簡単に説明すると、

南部先生は対称性の自発的破れが、素粒子の相互作用でも起こることを初めて理論に持ち込んだ。これは粒子の質量生成機構とも密接に関連し、今日では欠かせない概念となっている。

小林・益川の両先生といえば、なんといっても小林・益川行列だと思う。

先生方は、CP対称性が破れていることを理論から導きだすには、三世代以上の粒子が必要だと主張した。二世代以下のモデルではCP対称性を破る機構を説明できない。小林・益川の三世代混合行列では、対称性では打ち消せない余計なパラメーターが残るため、これがCP対称性を破る原因になっていると考えられる。

後に見事、三世代の粒子はめでたく観測され、理論は実証されたflair

師匠は院生時代、小林先生と席が隣だったらしく、なんと当時助手だった小林先生は、この自らの業績をおおっぴらにしなかったそうだ。周りが騒ぎ出してから、小林・益川の理論は重要性が認められた。後にノーベル賞を受賞する研究業績だとは、最初は誰も思っていなかったのかもしれない。

それにしても、ノーベル賞級の研究が理解できると、感動もひとしおのものがある。前回は、ニュートリノの研究でも、まだ高校生でさっぱりわからなかった。こういう感動も、学問を続ける一つのモチベーションになる。

ひそかに、世間で素粒子ブームが起きるように、祈っちゃったりして(o^-^o)

これでまた、日本の素粒子界に新たな風が吹き込まれることを期待したい。素粒子研究の素晴しさを見直すことに繋がってくれたら、いいなと思うsunhappy01

先生方、本当におめでとうございますm(_ _)m

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LHC稼動!その2

先日、LHCの稼動について書いたが、書いた矢先、もうストップしたらしい(^-^;

配線トラブルで、冷却に使うヘリウムガスが抜けたとか。

あれだけ巨大な実験装置だから、多少の故障は当然ありうることだが、それにしても、いつになったら正規の実験ができることやらtyphoon

今週先生が学会から帰還した。

稼動の時、NHKでニュースが流れたらしいが、うちの研究室出身のE君が映っていたらしい。先生はそのE君と偶然、学会で会ったそうだ。

E君曰く、LHC関連の話題は今が最盛期らしく、とてもトークがきける人数ではなかったと。

彼はLHC関連の実験家だから、今、もっとも忙しい。

僕ら理論家、とくにモデル専門は、彼らに首を絞められる運命に…( ̄○ ̄;)!

* * * * *

お決まりの、先生との会話

W君:「LHC止まったみたいですね。次回稼動予定は2ヵ月後だとか」

先生:「しかし、出てくるのはゴミの山やでな」

僕:「ゴミ?」

先生:「そやで。ゴミのジェットからいかに宝を探すかやん。解析が大変なんやで。結果なんていつ出るかわからへん」

一同:「…」

* * * * *

ちなみに、ゴミとは新現象とは関係ない粒子のジェットのこと。ハドロン同士の衝突ではこのジェットが大量にでるから、新粒子発見のために、バックグラウンドの差し引きが重要になってくる。

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LHC稼動!

LHCが稼動を始めた。周回ビームの生成には既に成功しているようで、これから本格的な衝突実験に入るようだ。

Higgsボソンを始め、超対称性理論、ミニブラックホール生成による余剰次元の検証、等々目玉企画が目白押し( ^ω^)

のはずですが、我らの師匠は実に現実的な意見を…

僕 「LHCついに稼動しますね!」

先生 「そやけど、まあ、何も見つからんちゃうの?」

僕 「余剰次元や超対称性が確認されれば、科学の一大革命ですよね?」

先生 「確かなのは、モデル屋は大半がふるいにかけられることやな」

確かに、超対称性理論他、何も見つからなかった場合は、その方面の研究者は多少方向性を修正しなければいけないかもしれない。この実験の次は、仮にもっと強力な加速器が開発されたとしても、ウン十年先の話になってしまうから、検証に基づく科学をやるためには見直さないと、ただの空想で遊んでいただけで人生が終わってしまう。

また、そういった理論の証拠が見つかったら見つかったらで、それに否定的なモデル、理論を研究している研究者は職を失うだろう。

いずれにしても、キラ星のごとくある理論モデルは、この実験で淘汰されることになるbomb

恐ろしやヾ(.;.;゚Д゚)ノ

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超対称変換

Wess Baggerがようやく波に乗り出したpencil

ラグランジアンの構成には、なんらかの制限を課す必要があるが、supersymmetryの場合は通常に比べてかなり複雑になる。

まず、超対称変換で作用が不変かどうか確かめなければならない。補助場とか入ると、計算量は倍になる。

ねちねちした計算で、もううんざりbearing

ワインバーグサラムなら、SU(2)×U(1)のゲージ変換だけを考えればいいから、この手の計算は楽だ。もっとも、ハイパーチャージで複雑になることは、なる。

R不変とか、誰が考えたんだろうfish

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8月

いつの間にか八月にcoldsweats02

修論は、超対称性理論か弦理論にするかで思案中。弦理論ではやりのADS/CFTは、あまりにもやられている仕事が多すぎて、オリジナルな仕事ができなさそう。

なんといっても、先生が完全に僕に判断を任せているので、下手な題材を選ぶわけにはいかない。失敗して

卒業できませんでしたcatface

では、洒落にならないし

理研のH先生が取り組んでいる、弦理論からのバリオンやグルーボールの計算は、物理現象に結びついているし、おもしろそう。

先輩の修論を参考にしつつ、考えるtyphoon

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GS-action

今日は一日中GS-actionと格闘していた。GS-actionはsuperspaceでフェルミオン項をすべて表現するため、見通しがよい。

作用の変更としては、南部後藤の弦にsuperspaceをいれれば、それでよい。κ対称性を加える分だけ計算が大変にはなるtyphoon

κ対称性は強力だ。一気に自由度を1/2落としてしまうimpact

作用から運動方程式を導くのは一苦労で、束縛条件の使い方に難があったため、時間がかかってしまった。

GS-actionはあまり有名ではないのかもしれない。ポルチンスキーの教科書では省略されているし、弦場の理論で大御所であるI先生に聞いてみたところ、

「よく知らん」

と一蹴された。

今日はこれからF君の送別会兼先生の還暦祝いbeer

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