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VACUUM BUBBLE(真空泡)

今日のゼミで、光子のプロパゲーターに関する繰り込みが終了。

終わった後、W君やK先輩と議論。

繰り込みは難しい。どこが難しいかというと、その解釈。やってることは級数展開して、出てきた無限部分を裸の電荷や質量に押し付ける、ということなのだが、どの部分の無限がどの有限値に繰り込まれているかを精確に見極めることが難しい。

* * * * *

真空はからっぽの何もない空間、という概念を多くの人は抱いていると思うが、それは古典論の話であって、量子論(つまりミクロなスケール)ではそうではない。

例えば、次のFeynman diagramを考えてみよう。

2_1

上の線が電子(運動量P)の伝播にあたり、真ん中が光子(運動量k)、下が陽電子(運動量P+k)である。さらにx1とx2は、時空の一点を表す。

矢印が運動の向きであるが、反粒子は逆の矢印で書く。

x1という点で電子、光子、陽電子が生成され、x2という点で消滅している。

これは以前出てきた2次のオーダーのQED(量子電磁力学)で、すべて場を縮約した場合にあたる。

縮約した場は、プロパゲーターになるので、上図のような閉じた形の図形となる。

この現象をVacuum bubble(真空泡)という。

QEDでは自動的にこの過程が現れるので、真空は常にこのような粒子の生成、消滅が起こっているものと理解できる。

しかし、この過程は散乱や崩壊などの結果に影響しない。

なぜなら、物理量を計算するとき、分子と分母にこの寄与が現れるので、約分すると消えてしまうからだ。

他にも4次、6次…と無限のオーダーで出てくるが、それらの効果も全く同じである。

* * * * *

用語解説

プロパゲーター…縮約という操作で、場をつないだ場合に現れる。プロパゲーター(伝播)はグラフの内線として現れるので、実際の観測にかかる現象ではない。プロパゲーター、つまり伝播すると考えられる粒子はすべて仮想的なものである。この仮想粒子は粒子の持つエネルギーと運動量の関係式を満たさない。このような粒子をOff-Shell粒子という。

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