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量子井戸レーザー

量子力学の工学的応用は、ここ50年ほどの間に数多くなされた。

工学、理学、あるいは教養課程でも量子力学を習ったことのある人の大部分は、一度は井戸型ポテンシャルの問題を解いたことがあるだろう。

量子井戸レーザーというのは、それを利用した発振原理を持っている。

階段型の量子井戸を向かい合わせるように縦に並べる。

量子力学によれば、この量子井戸はとびとびの準位を持つ。なので、ある条件を満たせば、上の井戸から下の井戸への遷移が起こる。

フェルミエネルギーギャップよりも大きくなくてはいけない、という条件を満たせばよいのだが、この条件は、ベルナール-デュラフールの条件と呼ばれている。

遷移が起これば、光を放出するので、それを増幅させればレーザーとなる。

単純だが、これが量子井戸レーザーの発振原理だ。

レーザー自体は自然界に存在する物質でも当然発振できるわけで、ヘリウム・ネオンレーザーなどが有名である。

違いは、利用する準位が自然の原子のものか、半導体で造った量子井戸のものか、ということだけである。

量子井戸は少ないキャリア注入で、効率よくフェルミエネルギーを押し上げることができるので、ベルナール-デュラフールの条件を満たしやすい。

この量子井戸レーザーは様々な用途(主に工業)に利用されている。

* * * * *

用語解説

井戸型ポテンシャル…井戸型の形をしたポテンシャル。量子をこの中に放り込んで、シュレーディンガー方程式を解くと、離散したエネルギー準位が現れる。古典的にはエネルギーはどんな値でもとれるが、量子系では、とれる値が限られる。これは量子効果の一例である。

フェルミエネルギー…フェルミ粒子(半整数スピンを持つ)の化学ポテンシャルのこと。直感的には、個々の粒子が持つ固有のエネルギー。

ギャップ…ここでは上の井戸と下の井戸とのエネルギー差。

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