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2007年6月

フォトン、フォノン、プラズモン?

生協の食堂に行くと、なにやら見慣れない惣菜が…

大豆モヤシ、ゼンマイ。

ホウレン草、ダイコン、ニンジン。

う~む、これは間違いなくビビンバの残り具材。余りを有効活用というわけですか。

しかし、惣菜としてはやっぱり違和感が…

どうしてもビビンバが連想されて、ビビンバにして食べたくなる。。。

* * * * *

量子の世界は不思議で、量子化をすると様々な粒子(量子)が現れる。

フォトンにフォノン、プラズモンなど。

フォトンは光の量子で、プラズモンはプラズマ(荷電粒子の集団)の量子。

そして、フォノンは音波の量子。

プラズモンやフォノンは観測にかかる量子ではないので、準粒子と呼ばれる。

ではこれらの量子、日本語では何と呼ぶのだろうか。

湯川先生は、メソンを核子と電子の中間の質量を持つ粒子として中間子と名付けた。

これはよく用いられる。

フォトンは光の量子だから、光子と名付ければ都合がよい。

ではフォノンやプラズモンは?

フォノンは音波の量子だから、音子と名付けたらどうだろう?

むむ、しかし呼び方が難しいな…オトコ、オンシ?

どうもしっくりこない。

これは朝永先生が指摘された話。

このように、物理量の命名にはそれなりのセンスが必要である。

マレー・ゲルマンは核子を構成する最小粒子をQuark(クォーク)と名付けた。

小説の中の鳥の鳴き声からとってきたというが、素晴しい響きじゃないか!(と僕は思う。)

このクォークというネーミングはいまや、物理を知らない一般の方でもご存知かもしれない。

物理学においてネーミングのセンスは、実は非常に重要なのである。

* * * * *

用語解説

メソン…やや専門的にいって、正味のクォーク数がゼロの粒子。2個のクォークからなる。

マレー・ゲルマン…クォーク模型の提唱者。1969年、ノーベル物理学賞受賞。

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Quark(クォーク)のカラー(色)

う~ん、非常に暑い(汗)

昨日あたりから急激に温度上昇したような気がするな~

完全に梅雨を通りこして夏になってる。。。(苦笑)

* * * * *

物理学で自由度といえば、現象を記述する座標(変数の数)のようなものを指す。

古典力学では単純で、例えば、3次元空間でのボールの運動などは3つの座標(x,y,z)で記述できる。

量子力学では少々複雑になるが、内部角運動量のスピンなどは一つの自由度として考える。

ハドロン(強い相互作用をする粒子)は3つのクォークでできている。通常、運動する座標(x,y,z,t)にスピンを加えたものを波動関数とするが、それではバリオンと呼ばれるハドロンの一種が記述できない。

そこで新しく、クォークにカラー(色)という自由度を持たせてみる。

このカラーは光の三原色のように赤、緑、青が存在するが、白色の状態のみ現実に存在すると仮定する。

すると、赤、緑、青と違った色を持つクォークしか互いに組めないので、赤、赤、青といった組み合わせはなくなる(クォーク3つでバリオンとなるから)。

この模型が実は、よく実験と一致する。

実験と一致すれば、それはモデルではなくなり、現実的な現象となる。

強い相互作用が、量子色力学と呼ばれる所以は、そこにあるのだ。

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用語解説

波動関数…量子の振る舞いを決定する関数。一般には複素数で、量子力学ではその絶対値の2乗が存在確率を与える。

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OPAL測定器

素粒子物理学では、粒子同士を衝突させて内部構造を探る、という実験が行われる。

粒子は電場や磁場をかけて加速するのだが、衝突後はどのように検出するのか?

スイスのCERNという所にOPAL測定器というのがある。

これは衝突した粒子から飛び出すジェット(新たに生成された粒子のシャワー)を検出する測定器である。

内部は層構造になっている。

一番内側はガス層である。これは電荷を持った粒子が通過すると軌跡が残るようになっており、荷電粒子を検出できる。

次は鉛ガラスの層である。鉛ガラスは反応性が高く、γ線や電子、陽電子などの検出に適している。粒子は内部で放出されたチェレンコフ光を捕まえることで検出する。

その外はハドロン検出器、ミューオン検出器などが控える。

鉛ガラスは非常に重く、また、形を整えるのに高度な技術が必要なため、造船所で造られる。

* * * * *

用語解説

チェレンコフ光…荷電粒子が媒質中を進むとき、その粒子の速度が媒質中の光の速度より速くなると電磁波が放出される現象

ハドロン…強い相互作用(核力)をする粒子

ミューオン…強い相互作用をしない粒子をレプトンというが、その1種。

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冷凍機屋

今日はTAの日。講師は前回と同じく住友重機械のS氏。

冷凍機についてのお話を伺う。

物理(あるいは熱力学)を知っている人であれば、一度は必ず耳にするのが、カルノーサイクルと呼ばれる熱サイクルである。

注射器のようなピストンと容器の系を考えてみよう。以下の操作をしてみる。

1.容器を等温に保ちながらピストンを引く、つまり体積を増やすと、熱を吸収する。

2.その後、断熱にして、ほかっとくと温度が下がる。このとき、体積は増える。

3.そのまま等温にしといてピストンを押すと、今度は熱を放出する。

4.そしてまた断熱にしとくと、系は最初の温度、体積となり、もとに戻る。

このような一周過程をカルノーサイクルという。

これは熱力学的には理想的なサイクルと考えられ、熱を扱う職業の人たちにとってはお手本となる。この過程では、高熱源から熱を吸収し、低熱源に放出する。

このサイクルを逆にする(つまり4→3→2→1)ことで、冷凍サイクルを考えることができる。

この場合、低熱源から熱を吸収し、高熱源に放出するから、低熱源はどんどん冷える。

冷凍機屋はこのときの効率(つまり、何%の熱が仕事に変わったか)を常に参考にして、クーラーなり、冷蔵庫なり、冷凍機を作るのだ。

しかし、カルノーサイクルはあくまで理想的な過程であって、現実には実現不可能である。

よって、効率を上げるために、様々な努力を企業側は行っている。

クーラーなどはここ10年で消費電力が約2分の1になったという。これも冷凍機屋の効率(=地球にやさしい)精神の賜物なのである。

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クライン-仁科の公式

場の量子論ゼミは今日で量子電磁力学が終了。

次章は繰り込みとループダイアグラム。

加えて、M2のK先輩が修論の準備に入るため、次回から論文読みが週1で入ってくる。

本格的に論文を読むのは、これが初めてなので、とても楽しみだ!

* * * * *

量子電磁力学において、非常に重要な公式の一つがクライン-仁科の公式である。

これはコンプトン散乱における散乱断面積をツリーダイアグラムからの寄与のみで求めたものである。

以下にツリーレベルでのファインマンダイアグラムを載せる。

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ツリー、つまりループを含まないダイアグラムは上の2種類が考えられる。

左は電子が光子を吸収して、しばらく経った後、光子を放出する過程。

右は電子が光子を放出して、しばらく経った後、光子を吸収する過程。

矢印が粒子の進む方向を表し、実線が電子で波線が光子を表す。

この図形、実はとても便利で、前にも書いたが、この図を描くだけで具体的な物理量(S行列)が導ける。

波線、実線、それらが交わる頂点にはS行列のパーツが割り当てられているので、それを読みとって組み合わせるだけで、S行列を求めることができるのだ。(注:実際にはM行列というのがわかって、それを2乗してS行列を求める。)

S行列が分かれば、散乱断面積もわかり、散乱された粒子の角度分布が求められる。

あとは実験と比較して、理論が実験を再現できているかをみればよろしい。

* * * * *

場の量子論から直接この公式を計算したら、莫大な時間がかかってしまった!

1日2~3時間で、1週間ほど。途中、γ行列が8つのトレース計算に遭遇して、やる気が失せたが、なんとか最後まで辿り着く。

でも、導けたときの感動は、なんともいいもの。仁科先生が苦労した歴史が感じられるようで、なんだか嬉しい。これこそが理論物理の醍醐味だ!

* * * * *

仁科先生は理化学研究所の創始者である。

湯川・朝永時代の前に、すでに海外で量子力学の経験を積み、日本にいち早くそれらを伝えた、まさに日本における現代物理学の草分け的な存在であった。

朝永先生は仁科研究室で研究者人生をスタートさせている。朝永先生は仁科先生のことを、海外で外国人と有名な仕事をしたすごい先生、と聞いていたらしいが、その有名な仕事というのがクライン-仁科の公式なのである。

仁科先生はこの公式を導いたとき、間違いばかりが見つかって、本当に苦労したそうだ。導くのに半年もの時間を要している。

* * * * *

用語解説

繰り込み…無限大の効果を無限大を持って打ち消す計算法。ループを含むファインマンダイアグラムでは必要となる。

ツリーダイアグラム…ループを含まない、ファインマンダイアグラム。このレベルでは計算過程で無限大(発散)は出てこないので、繰り込みは必要ない。

散乱断面積…散乱粒子の角度分布。どの場所にどの程度散乱されたかを表す物理量。面積の次元を持つ。

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はしか抗体検査の結果発表!

はしか抗体検査の結果を聞きに市民病院へ向かう。

注目(?)の結果発表の前に院内でのできごと。

到着後、自動予約表発券機で発券。案内係の人に聞いて内科へ予約表提出。

と、ここまではスムーズだったが、すぐに看護士さんに呼びつけられる。

看護士:「A先生は感染症外来の先生ですよ。感染症病棟へお出し下さい。」

僕:「え!そうなんですか。すみません。」

…。

よく見ると真ん中らへんに感染症外来(A先生)と書いてある。

でもなー、ここに大きく内科って書いてあるんだよね。最初の上の方に。ほら、予約表にも内科で予約って書いてあるし…。

と、いいたくなったが時既に遅し。わかりにくいよ。さっき案内係の人にも聞いたのに。。。

不満を漏らしながらも、感染症外来へ。

着くと診察待ちらしき患者の人が2人。すくな!先週はこの10倍はいたのに、どこいっちゃんたんだろ?もしかして、先週の患者の9割ははしか検査だったんじゃ…

考えてみれば、感染症外来なのに、患者を皆一つのホールに集めておいていいのだろうか?インフルエンザやはしかの患者、その他、空気感染が心配される患者も来るわけで、お互い、移しあうことになってしまうんじゃなかろうか?

その中にケンコバ激似の男性が。あれだけ似てると勘違いされるんじゃないかな~。

10分ほど待って診察室へ。いよいよ結果発表!

医師:「検査の結果をお知らせします。」

僕:「はい」

医師:「はしか、風疹、水疱瘡、すべて十分な免疫を持っています。」

僕:「そうですか。ありがとうございました。」

終了。診察時間10秒。診察料210円。

はしか騒動を総括すると、なんだか自分はこの事件の掌で踊らされていたような気がする。考えてみれば小学生の頃、毎年なにかの注射をしていたから、それをちゃんと受けていれば、免疫がない、なんてことはないんだよね。

でもそうならそうで、学校側はそういう広報をわかりやすい形で行う必要があったと思う。この人はこの病気にかかる心配はありません、とか、この病気は危険です、とか。それを卒業時に配るなり、電子カルテにして学校で保管しておいて、いつでも問い合わせで答えられるようにしておく、とか。

同じ研究室のW君曰く、

「僕らの世代は全員予防注射してるらしいよ。下の学年はどうか知らないけど。」

まぁ、とにかく、免疫があってよかったよかった。

診察を終えて帰るとき、苦しそうに顔をしかめて待っている中年男性の顔が目に入った。熱があるらしい。

また、大きなX線写真を持った男性が受付に来ていた。熱があり、座るのも苦しいから、ベットに横になりたい、と看護士に話すと、診察室に入っていった。

彼らは何の感染症にかかったのだろう。

健康には本当に感謝しなければならない。

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『ホーキング、宇宙を語る』を買う

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生協にふらりと立ち寄ると、『ホーキング、宇宙を語る』が文庫本で売られていた。

これは一般書の中でも名著中の名著、ということで即購入。

この『ホーキング、宇宙を語る』は読んだことがなかった。ハードカバー本だったから、少々値が張ることもあったし。

勉強の合間に少しずつ読んでいこう。

ホーキングの本で言えば、続編の『ホーキング、未来を語る』もお気に入り。

特にグラフィック調のイラストが美しく、感動を覚える。

今回はそこまで丁寧な装本ではなく、普通の文庫小説と同じだが、ホーキングのジョーク交じりの語りは非常におもしろく、期待度大。

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HD DVD vs Blu-ray Disc

今日は朝8時起床。最近は夜が完全に白夜化している。

寝ようと思って布団に入ると、もうすでに外は明るくなりかけており、眠りに落ちる頃には日は昇っている。

睡眠時間は3~4時間ほどか。う~ん、早く改善しないと生活習慣病になっちゃうな…

* * * * *

HD DVDとBlu-ray Discの開発競争が激化している。

Blu-rayもHD DVDも記憶(読み取り)原理は同じ。

波長の短いレーザー(青)を用いることで、より多くの情報を読み取ることができる。つまり、光のエネルギー密度が高いと、それだけ有利、ということだ。

ソニーなどはすでにBlu-ray Disc搭載のレコーダーを発売しており、現況ではBlu-ray一歩リードといったところ。

Blu-ray開発には参加企業も多い。シャープやソニー、松下、日立、サムスン…。

HD DVDには東芝やNECが参加しているが、市場の9割ほどがBlu-ray陣営であり、劣勢の感は否めない。

Blu-rayもHD DVDも容量は現行DVDの5倍ほどであり、容量の点では遜色ない。

なぜ、劣勢なんだろう?

HD DVDはBlu-rayと比べて現行DVDとの互換性がよく使い勝手がいいというメリットもある。

これからの奮起に期待しよう。

* * * * *

ところで、Blu-rayってなんでBlue-rayじゃないの?と疑問に思った方、いませんか?

それはアメリカではBlue-rayでは一般名詞になってしまって商標がとれない、という困難があるからです。

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低温技術・超伝導編

今日はTAの日で講師は住友重機械のS氏。

今回の講師の先生は準備がとてもよく、パソコンやレーザーポインタを持参してくれた。大変ありがたい。

低温技術についての概論を聞かせていただく。

低温技術が現在重要なのは、やはり超伝導工学の新展が目覚しいからであろう。超伝導自体は1911年に発見されたのだが、その応用への道のりは非常に長かった。

それは半導体やトランジスタの応用と比べても明らかであろう。発見はそれより早いのに、いまだに目立った応用はなされていない。

何が難しいのか?

それは一例として、転移温度がまだまだ低いことが挙げられる。

リニアモーターカーなどは線路の内部に液体ヘリウムを溜め込むから、その状況(極低温)を長時間(というか半永久的に)保つのは難しいだろう。

S氏は21世紀は超伝導応用の世紀になるというが、果たして…

* * * * *

用語解説

超伝導…ある温度で電気抵抗がゼロになる現象。超伝導はこれに加えて、磁力線が内部に侵入しない、というマイスナー効果も示す。

半導体…導体(電気を通す)と絶縁体(電気を通さない)の中間の性質を持つ物質。

トランジスタ…信号(電気の流れ)をコントロールできる半導体素子。

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リアルタイム研究会議

今、研究室で昨年D(ドクター)をとったU先輩とK大からこられたU教授とうちの師匠が研究会議をしている。こういう空気だとこちらまで、背筋の伸びる思いがする。

教授の先生方が忙しいらしく、急ぎの議論のようだ。

うちの師匠は今月末からフランスに行く。講演やら会議でのトークを頼まれたらしい。研究所にも1週間ほど滞在するようで、現在準備で忙しいといっている。

U教授は初めてみたのだが、なかなかの迫力。

U先輩も久しぶりに見たが、院生時代とまったくかわりないようでなによりだ(笑)。

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はしか抗体検査に行く

はしかの抗体検査に行ってきた。

朝9時頃起床したのだが、非常につらい(汗)。最近、5時寝の習慣が身についてしまったようで、起きるのは午後1時頃。デカルトもびっくりだろう(笑)。

11時の予約だったので、その時間に行ったら、僕が最後の新患外来だった。新患外来の受付は午前11時で締め切ってしまうらしい。なんて早さだ。

検査のため、感染症病棟に向かう。

とてもファンキーな格好のおじさんが受付の人と話し込んでいた。短い金髪に股関節までの短パン。そしてルーズソックス。

名前が呼ばれ、診察室へ。看護士さんかと思っていた若い女性が、医師であったことを知り、驚く。まだ30、いや20代かもしれない。

はしか、風疹、おたふく風邪などの抗体検査は、すべて血液検査で済んでしまうそうだ。そういえば、高校まで毎年血液検査をしていたけど、あれは何のための検査だったんだ?

コレステロールやヘモグロビンの数値があったことは覚えている。無駄に一喜一憂したものだ。抗体の検査もできるなら、その時に通知していれば、こんな騒動も起きなかっただろうに。

結果は来週出るのだそうだ。

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トレース計算

Compton散乱に関するトレース計算がようやく終わった。

午後3時頃始めて、終わったのがこの時間!

細かいところまですべてチェックすると、膨大な計算量になってしまう。

トレース計算はもう、当分したくない気分。

* * * * *

用語解説

Compton散乱…電子-光(光子)の散乱現象

トレース…行列の対角和をとること。フェルミ粒子系では波動関数が4成分で表示されるので、それらの積などを考えると自然に4行4列の行列が必要になる。

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量子電磁力学(QED)

明日、はしかの抗体検査に行くことになった。注射はそれで陰性になった人にするのだそうだ。

* * * * *

久しぶりに物理の話題。現在ゼミは量子電磁力学の中盤。

量子電磁力学とはその名の通り、電気・磁気の理論を量子論的に扱う学問のことである。

量子化というのは非常に簡単にいってしまえば、デジタル化する、ということである。

(古典的)粒子というのは運動量やエネルギーなどの物理量は連続的、つまりアナログ的である。

それに対し、量子というのは、それらがとびとびの値を持ち、デジタル化されている。

量子電磁力学(英語で略してQED)とはデジタル化された電気・磁気の理論のことなのだ。

QEDでは相互作用を2つに分ける。ひとつは瞬間的なクーロン相互作用というので、電荷を持った粒子同士の散乱の瞬間に導入される。

散乱という現象を扱うときは、散乱の瞬間の相互作用だけを考えればよい。実験(散乱)をする前の電子と陽子は、相互作用をしていないものと考えてよいからだ。

同じ電子と陽子の現象でも、これが例えば、水素原子ならば話は別である。水素原子内では、電子と陽子は常に相互作用を及ぼしあっており、結合状態を作っている。だから安定なのだが、この場合は瞬間的なクーロン相互作用でないため、摂動的に扱えない。

もう一つは放射の影響である。電子-陽子散乱の例では、相互作用の瞬間に光子が放出・吸収される。その相互作用は場の量子論では、光子の場と電子+陽子の場の積で与えられる。

そしてそこから具体的な物理量(S行列)などを計算していく。

最終的には実験結果と照らし合わせて、導入した相互作用の形が正しかったどうかが判別される。

* * * * *

用語解説

光子…光の量子。光の場はベクトル場であり、古典的にはベクトルポテンシャル。

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竹内先生、朝カル最終講義(寄稿)

先週、竹内先生が朝カルでの最終講義を行った。歴代の生徒さんはみな駆けつけたようだが、僕はゼミと仕事とその他の雑用の波に呑まれ、アップアップで参加できず。残念!

欠席の代わりといっては何だが、ここに朝カルと竹内先生との思い出話を記し、寄稿したいと思う。

この朝カルとの出会いは、実は今年に入ってからのことである。そしてその場での先生や生徒さんとの出会いは非常に貴重なものであった。

普通科学の話というのは、あまり好まれるものではない。難しい、という常識も手伝ってか、特に酒の席ではご法度である(これは僕自身の経験の話)。

人によっては単なるうん蓄や自慢話に聞こえてしまうことも少なくない。それは非理系人には単調な知識の羅列にしか聞こえないからであろう。だが、竹内先生は違った。先生の科学や仕事の話は、華やかな飾りつけもなく、ひどく誇張(自慢)するようなものでもなく、ストレートに、かつ穏やかに、頭に心に、入ってきた。

そんな先生の講義に、生徒さんも質問や意見を投げかけ、科学に対しての熱意というか、とにかく、大学とは違ったその講義の雰囲気に驚かされた。

その場にいながら、僕は小学生の頃の授業の雰囲気を思い出していた。羞恥心など微塵も感じさせず、思ったことが素直に言えたあの頃―。

時とともに、周囲との協調ばかりを気にしすぎて、自分の意見(意思)をはっきりさせる、という姿勢を失っていた。

自分の科学に対する姿勢ももっと見直さねばならない、と感じ、学んだ。

先生の授業には本当に感謝している。あの授業がなかったら、僕は自分の科学感、とでも言うべきIdentityを失っていただろう。

先生の科学に対する想いが受け入れられているのは、その著書(99.9%は仮説、等)がベストセラーとなっていることからも明らかだ。

竹内先生が見て下さっているかどうかはわからないが、一言―。

「先生、長い間、本当にお疲れ様でした。」

先生は講義や講演だけでなく、多方面で仕事をなさっていることもあり、今後のますますの活躍が楽しみだ!

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はしか流行!

先週は忙しく、全然日記を更新できなかった。反省。。。

* * * * *

はしかの流行で、とうとううちの大学も今週一週間、休講になった。

はしか感染者が学内を元気にうろついていたらしく、今後拡大感染の可能性が懸念されて、とのこと。

自分も先週はかなり疲れたし、学内を歩き回っていたので、やばいかもしれない(汗)。

僕ははしかはやっておらず、予防接種も一回しかしていないので、免疫力ゼロということもあり、非常にやばい状況なのだ。

いろいろ調べていたら、どの病院でも在庫不足でワクチン接種は現在難しい状況らしい(またまた汗)。

明日、近くの病院と市民病院に問い合わせてみる予定。みなさんもくれぐれもご注意を…

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プランク定数精密測定

今日はTAの日。

授業が2時限連続してあったのだが、後半、別の授業で教室を使うことが発覚!

急いで、教室を変更してもらい、プロジェクター等、設定し直す。

Fさんは温和な方で、たいへんに協力してくれた。こちらの不手際なのに本当に感謝。

内容はプランク定数測定の話。

プランク定数は量子力学における最も重要な定数であるが、今や時空の性質にも根本的に関わる定数である(弦理論によると)ため、その精密測定は非常に重要だ。

産総研ではこの測定をシリコンを使うことで行っている(やたらとシリコンが好きらしい…)。

レーザーを照射させることで、その波長からシリコンの構造が精密に測定できる。そこからアボガドロ定数を導き、それをプランク定数に換算するのだ。

プランク定数の測定には主に2つの方法がある。一つはジョセフソン効果と量子ホール効果を利用する方法(ジョセフソン効果と量子ホール効果の説明は後日)。もう一つは産総研みたくシリコンを使う方法である。

この二つの測定法は測定原理が異なり、それぞれの測定法の誤差を見積もってもプランク定数の小数点以下5桁目が1~2ほど違う。

この差はどこからくるのか?実はそれはまだわかっていない。現在指摘されているのは量子ホール効果やジョセフソン効果の理論が完全ではないのであろうか、ということと、シリコンを使った測定に多大な誤差があり、それが違いを生んでいるのではなかろうか、ということである。

もし、この差が量子ホール効果やジョセフソン効果の理論の不完全性を示すものであるなら、ノーベル賞級の発見になることは間違いないであろう。

って、かなり大げさだけど(笑)。

* * * * *

用語解説

プランク定数…量子効果の度合いを表す定数。この定数=0の極限で量子力学は古典力学に移行する。また、この定数を用いて時空構造に関する、プランクの長さ、を導くことができる。それより小さい領域では時空の概念そのものが失われてしまうと考えられている。

シリコン…元素番号14の元素であり、Siと書く。ケイ素とも呼ばれ、地球に最も多く含まれる元素の一つといわれている。安定な結晶構造を持ち、基礎物理定数の測定によく用いられる。

アボガドロ定数…1molの原子の集まりに含まれる原子数。

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実在論と実証論

科学にはその解釈の問題が常に付きまとう。

例えば、クーロン力などは近接作用なのか、遠隔作用なのか、電磁気学の創設当時は議論ははっきりしていなかった(現在では近接作用であるというのが定説)。

これはその当時の人々からすれば、どちらの解釈でもよかったのだろう。つまり、遠くのものに空間を隔てて直接力を伝えると考えても、何かが空間を伝わって、その何かが力を伝えると考えても、どちらでも物理現象は数値の面ではうまく記述できた。

しかし、現代は違う。もし、電磁気力が遠くの物に直接働くと考えると、電磁波の存在が否定されてしまう。つまり、何か空間を伝わる物理量があると考えないと我々が使う携帯は何の原理で話ができるのか、説明できない。

その一方、電磁場を導入すれば、すべての電磁気現象を記述できる。このことは、電磁場を介して力が伝わるとする近接作用が正しいのではないか、と思わせるには十分だ。実在論からも実証論からも、それは存在するものとして認知されている。

では、その電磁場とは何なのか?我々はそれが眼に見えてどんな構造をしているかわかるのか?

答えはノーだ。

僕らは知らず知らずのうちに実証論の一端で現象を片付けてしまっているのかもしれない。僕らが街を歩いていて、飛んでる電磁波に気にも留めなければ、そんなの存在しない!という主張さえ、可能なのかもしれないのだ。

では平行宇宙はどうだろう?それは実在しているのか?我々はそれに気がつかないだけなのか?または、実証論でその存在は説明できるのか?

こう考えられる。平行宇宙(Dブレーン)は存在している(実在している)が、我々はそれを電磁場のように検出する技術を持ち合わせていない。だから、今はまだ、観測にかからないだけだ。

また、実在はしていない。我々はそれを認識できないし、実証もできない。

という説も現時点では最もらしい。だが、もっと未来の世界ではわからない。そして未来が永遠に続くなら、永久に是非の判定は不可能となる。

堂々巡りだ。

実在論と実証論、そして哲学。これらが示すのは、いかに人間の思考が能率悪いか、ということだけなのかもしれない。

* * * * *

用語解説

クーロン力…電気の力

実在論…観測にかからなくとも、そこに単独で存在するものがある!という考え方。

実証論…何かで実証(検出)されないと、その存在は認めない!という考え方。

Dブレーン…高次元空間の膜。

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